女性局研修2日目

2023年7月26日

研修2日目は、保育園視察に出かけました。バイリンガル・インターナショナル保育園です。2004年にフランスで保育士が設立、国内に約700の保育園、海外に約150の保育園を展開され、民間の強みを生かし、約200のバイリンガル保育園を運営しているとのことでした。お父さんが送ってくるお子さんが多く、ベビーカーで登園し、そのままベビーカーを置いて仕事へ行くそうです。

 

玄関にパネルがあって、その日の活動が保護者にわかるように映像で紹介されていました。中に入ると、とても設備が整っていて、リラクゼーションルーム、テラスに屋根付きの運動場も設置されていました。ここは0歳~3歳まで預かる施設で、0歳児は14人で先生が4人で面倒を見ていました。保育園全体では46人のお子さんがみえるそうです。

 

フランスは2人以上の子どもがいる家庭に家族手当補助が出され、保育園に入るそうです。保育園では不足分を保護者からもらうという仕組みです。所得に応じて金額が違うそうで、貧しい家庭は1時間当たり0.3ユーロ(約50円)、裕福な家庭は1時間当たり3.7ユーロ(約600円)を徴収するとのことでした。教師は保育所は子育ての資格、幼稚園は教員資格と先生の資格も違います。

 

丁度、2~3歳児が絵本を読んでもらっていました。絵本が終わると歌遊び・手遊びをしていました。多分、日本でいうと「〇〇さんはどこでしょう?」という遊びで、我々見学者にも「どこでしょう?」と振り返ってくれました。保育室にあった人形が目に留まりました。肌の色が違う二体の人形が置いてあり、配慮がされています。様々な体験ができる多くの部屋が用意されていました。

 

午後はローラン・オルタルダ全国家族手当金庫国際アドバイザーとフランス在住のライター、高崎順子ジャーナリストのお二人のご講演を伺いました。ローラン氏からは、「政府が家族生活の戦略を立て、フランスの首相が出生率の支援が大切と打ち出している。社会保障金庫(CNAF)からの2022年支出が990億ユーロ(930億ユーロが家族手当支援、60億ユーロが保育所への直接支援)とのことです。

 

フランスでは6割が婚外子の子どもで、その子たちへの支援金はどのようになっているかを質問しました。答えは、どのような環境でも第2子から家族手当金が対象となり、所得が少なくても多くても割合は違うが、どの家庭にも課金の制度があるそうです。所得が低くなれば手当が厚くなり、人数が多いほど多く受けることが出来るとのことでした。

 

高崎順子氏からは日本語での資料と講演がありました。なぜフランスは子育てがしやすいのか、という理由は『①親が孤立していない ②子育ては大変と認められている ③子どもは社会に必要と認められている ④子は親を選べないと認められいる』でした。共働き・共育てを可能にする労働法の制度があり、父親も1週間の休業制度を義務取得しなければならず、取得率は70%です。(日本は17%)

 

フランス政府の育児支援「はじめの1000日間」(満3歳まで)で、保育園は手ぶら登園というのが国の方針。これは「はじめの1000日間(妊娠4か月~出産後2年間)に、全てが始まる。」と国が情報提供しています。その内容は「親になる、環境に対応する、支援を受ける、我が子を知る」の4点について具体的・科学的な情報と同世代の親たちの証言を国が紹介しているそうです。

 

子育てしやすい制度つくりの発想法は、①合計特殊出生率=社会の機能具合のバロメーター(子どもが生まれない社会には問題がある) ②子どものために親を助ける(親を助け、子を守るのは社会の全ての人の役割) ③公的制度は底を支えるもの(最低保証は国家が行うべきもの) ④制度は常に発展途上(目の前の親子を見続け、不具合を修正し続ける)であると教えていただきました。

 

私から「日本では休暇を多く取得することも、婚外子についても認められない。現状を変えていく方法を。」と質問しました。高崎氏からは「世代の違いは変えられないが、社会が変わっていくので、対立を起こさない話合いで積み上げていくことが大切。フランスのコピーはできないので、日本の細やかで真面目な部分を生かし、日本にあった対策を進めていくこと。」と答えられました。

 

日本の合計特殊出生率は1.3、お隣の韓国では0.78、中国でも1.18となり、どの国も出生率の低下に悩んでいます。そんな中、先進国であるフランスが1.78を維持しているのは本当に素晴らしいことです。今回の研修で学んだことで、まず国が取り組むべきことはもちろんですが、地方議会でも取り入れることはできないか、女性議員からの視点で対策を考えていきたいと思いました。